変形性股関節症
手術しなくても、痛みや動きが改善
される場合と理由と注意点。
レントゲンで関節の隙間が狭いと診断された時点で、ほとんどのケースで何らかの軟骨の損傷や骨の反応(骨硬化、微細な骨棘など)が始まっていると考えるのが一般的です。
しかし、その中で、画像上は変化があっても症状がない人、画像上は変化があっても保存療法で症状が劇的に改善する人が一定数存在することは事実です。
これは、レントゲン画像だけでは関節の状態を完全に把握できないこと、そして症状には様々な要因が複雑に絡み合っていることを示しています。
一方、
腰椎椎間板ヘルニアといった関節疾患にも全く同じように当てはまります。
「年齢による変化」の再確認と関節症への適用
* 加齢に伴う軟骨や骨の変化: 関節の軟骨は、年齢とともに水分含有量が減少し、弾力性が失われます。また、骨も骨密度が変化したり、関節の微細な変化が生じたりします。
* 画像所見と症状の乖離: このような加齢に伴う変化は、レントゲンやMRIなどの画像検査で「関節の隙間が狭い」「軟骨がすり減っている」「骨棘ができている」といった所見として現れることがあります。しかし、多くの人では、これらの画像上の変化があっても、痛みや可動域制限といった自覚症状を全く感じないことがあります。
* 無症候性変形性関節症: 実際に、特定の年齢層の健康な方を対象にレントゲンやMRI検査を行うと、自覚症状が全くないにもかかわらず、かなりの割合で変形性関節症の画像所見が見つかることが知られています。これは「無症候性変形性関節症」と呼ばれます。
* 例えば、高齢者の膝関節や股関節のレントゲンを撮ると、多くの人に何らかの関節の変形が見られますが、その全員が痛みで悩んでいるわけではありません。
なぜこのような乖離が起こるのか?
症状の有無は、画像上の変化だけでなく、以下のような様々な要因に影響されるためです。
* 痛みの閾値: 個人の痛みの感じ方には差があります。
* 筋力と柔軟性: 関節周囲の筋力や柔軟性が十分であれば、関節への負担を分散させ、痛みを感じにくくすることができます。
* 炎症の有無: 軟骨の変性に伴い、関節内に炎症が起こると痛みを伴いますが、常に炎症が起きているわけではありません。
* 日常生活での負荷: 日常生活で関節にどのような負荷がかかっているか、活動レベルなども影響します。
* 心理的要因: ストレスや不安なども、痛みの感じ方に影響を与えることがあります。
したがって、変形性股関節症や膝関節症においても、「レントゲンで異常が見つかっても、症状が全くない」というケースは十分にあり得ますし、これは加齢による変化の一部として理解されるべき現象です。
健側のレントゲンを撮ったら、整体する前の患側と同じ隙間だった
という事例は、よくあります。
だからと言って、
症状が改善したということは、必ずしも骨変形が治ったわけではなく、痛みの原因となっていた他の要素が改善された可能性が高い、ということになります。